湯の里デスク

「蘭越町で暮らしている人が楽しそうにしてたら、移住者も増えるとおもいます!」
湯ノ里デスク田代さん・佐々木さんにききました。


蘭越町へ移住して12年。
旧湯里小学校校舎を工房に改装し、こだわりの木製家具や小物をつくり続けるクラフトマン。
ここで作られる作品の数々には、道内外でもたくさんのファンがいらつしやいます。
木工房「湯ノ里デスク」代表の田代さん・佐々木さんに蘭越町ライフについてお聞きしました。

 

--蘭越町に住みはじめたのはいつからですか。

田代 2002年6月。佐々木さんと一緒にここに移ってきました。その前は東川町の家具メーで佐々木さんと働いていました。湯里小学校が閉校になったのが2002年3月だから、そのあとすぐに移り住んだので12年たちますね。

--蘭越町に住むきっかけはどんなことですか?

田代   工房として借りられる廃校を探して、羊蹄山麓の町をいくつかまわったんですよね。その当時は、貸してもらえる場所が見つからず、どこの町村もあまり真剣に 話しを聞いてもらえなかったんですよ。インターネットもまだ普及していない時代だったしね。とにかく車で探し歩くしかなかったんですよ。どこの町村に相談 してもいい返事がもらえなくて、あきらめかけていたんだけれど、ある村で「蘭越町になら、借りれる廃校があるかもしれないよ」と教えられ、蘭越町にお願い の手紙を書いたんです。もともと蘭越町の存在も知らなかったんだけれど(笑)。そうしたら、蘭越町だけがいい返事をくれたので、僕一人で見に来たんですよ ね、どんな学校か。そうしたら、なんていい場所なんだと感動してね。理想の場所でした。自分達が求めていた学校(工房)でしたね、建物もロケーションもす べて。この場所に出会えたことが嬉しかったです。

--蘭越町や湯里地区は住みやすい場所ですか?

田代 蘭越の町もとても好きですね。他の町もよいかもしれないけれど、蘭越の風景はとくに美しいと思います。羊蹄山までの距離も、蘭越町くらいの距離が一番綺麗に見えるんじゃないかな。温泉もあるし、診療所も近いしね。
佐々木 高校生まで医療費も出るしね。蘭越の医療補助は他の町に比べてもよいと思うよ。ただし、住み心地はいいから、蘭越に移りたいいう人は多いけれどあまり物件がないんだよね。他の町より物件は安いから、穴場なんだよね。

--そういう蘭越に住みたい人のお手伝いをするために、「蘭越移住定住ネット」ができました。

田代 僕らも、これから移り住みたいという人の為には力になりたいなと思うんだよ。
佐々木 僕らも「移住定住ネット」の会員にもなりますよ。
田代 あれ、もうなってると思ってた(笑)

--蘭越町に移住者を増やすためにはどうしたらいいんでしょうね。

田代  
蘭越町で暮らしている人が楽しそうにしてたら、移住場所を探している人たちが放っておかないはずだよね。「来て来て」ってガツガツしてるよりも、町の人が楽しくしてるところを見せた方が魅力になると思うよ。
佐々木 「移 住定住ネット」のような組織を、役場が率先して作っているってことを知れば、移住する人たちにも安心感は沸くよね。そういう情報があれば、蘭越への移住を 選択する人も増えると思うよ。そこから先は自分で努力しないといけないけどね。住んでからの苦労はどこでもあるだろうけどね。

 

--「蘭越移住定住ネット」では、移住前の人や定住してからの町民の情報交換の場所をつくりたいと考えているんです。

田代 
そうだよね。たとえば、図書室なら蘭越には「花一会」といういい図書室があるとわかれば、それによって住みたいという人も増えるかもしれないよね。役場のホームページなどでも、「花一会」の紹介をもっとしたほうがいいですよね。

--蘭越町図書室「花一会」のブックトークや講演会活動など、優れた活動をもっといろんな人たちに知らせたいですよね。

田代 い ろいろと移住地を探してHPを見ている人たちは、いろいろな情報を必要としているはずです。「あなたは、いい図書館のある場所とない場所ではどっちに住み たいですか」と尋ねられたら、間違いなく誰だって「よい図書館のある町に住みたい」と思うはず。その町に「本がたくさんある」ということの重要性は大きい よね。花一会は選書もいいし、いつも新鮮だし、働いている人たちの意識が高いと思います。
佐々木 「どんどん本をリクエストして」と言ってくれるしね。蘭越町の大きなポイントになるとおもいます。
田代 図書館がしっかりしているのは、文化度が高い町の証拠だよね。都市部から農村部に移住しようとしている人たちに対しては、いいアピールだと思いますよ。

--この木工房「湯ノ里デスク」もおもしろい場所ですよね。

田代 いろんな人が来ますよね。品物を買いたい人だけじゃなく、自分でなにかを作ってみたい人とかね。
佐々木 移住者が移り住んで長い期間工房を経営しているって知れば、「安心して移住できる」と思うかもね。過去に移住してきた人達が、今も充実した生活を送ってると聞けば、「住んでみようかな」という人たちは増えるよね。
田代 今 の時代、都市部ではなくて、田舎などのローカルな場所で生きる方法を模索している人が増えているから。そう言う人たちに情報を提供している雑誌や書籍など も増えてきました。皆、手探りでそういう生き方探してるんですよね。田舎に戻ってくる人たちも含めて。だから、僕らのように田舎で10年以上仕事をしてい るような人間は、ある意味、移住するための参考にしてもらっていいかもなと思うんです。田舎に移住定住したいという人はこれからも増えるとおもうから。町 の施策や情報の出し方、定住した後のケアも大切になってくるとおもうんだよね。

--町民として「移住定住促進」のためにできることってなんですかね?

田代 僕 らも湯里で暮らすために、近隣の人たちや役場やいろいろな人たちにお世話になってきました。その恩は直接すぐには返せないんだけど。僕らと同じように移住 を希望している人たちの力に少しでもなれるんだったら、順繰りお手伝いをしていきたいなぁと思っています。僕らにできることは、この工房を見ていただい て、「こういう生き方もあるんだなぁ」と見てもらうことかなと思うんだよね。それ以上のものは、なんにもないんですけどね(笑)。

--とてもいいインタビューができました。たくさんの人に、蘭越町とともに「湯ノ里デスク」のことも知ってもらいたいですね。本当にありがとうございます!

 

2014年4月1日